【第6回】 日々、田舎のワイナリーで

甲斐ワイナリー
風間 聡一郎
収穫間際のメルロー

 12月。怒涛の収穫、仕込みなど忙しさにかまけた結果、この原稿を書いている時点で12月も半ばとなってしまいました。すっかり師走です。

 畑では葡萄の葉の紅葉も終わり寂しい景色。醸造場では未だ発酵が続いているタンクがあるものの、2016年の新酒も完売で田舎のワイナリーではゆっくりとした時間が流れています。
 

収穫間際の甲州
 

しかしながら、この時期はお得意先やお客さんにお誘い頂いてのワイン会が立て続いており、月の半分近くが出張で埋まります。仕込み、そして新酒の発売から息つく暇もなく、怒涛の営業活動。美味しいワインを造っても売らなければこの仕事は成り立ちませんので、身を削ってお酒を飲みに出掛けます。

さて、お客さんや知人から2016ヴィンテージはどうだったか。今年のワインの出来は良いのか。と聞かれる回数が多いのもこの時期の特徴。

その都度、僕はこう答えるように心掛けています。「悪いとか良いとかじゃないんです。ワインはその年々の味になるのが当然であり自然なんです。」と。

半分はぐらかしていますが、2016年のワインを飲んで2016年を思い出してもらえると嬉しいのは本当です。
 
今年よりも来年、来年よりも再来年。失敗を繰り返しながら毎年少しずつ成長していけたらと思っています。それではみなさま良いお年を!

著者について

甲斐ワイナリー
風間 聡一郎

伝統を活かしたワイン醸造を行う家族経営の甲斐ワイナリー3代目(酒造業としては7代目)。甲州種やメルロー、バルベーラなど専門品種を中心に個性と品位のあるワイン造りを目指し、日々、畑でワイナリーで作業に励む。時折息抜きにFBでぼやく。1978年生まれ。東京農業大学出身。