【北陸編・第1回】山藤ぶどう園ホーライサンワイナリー

富山駅から車で内陸部に向かうと30分ほでホーライサンワイナリーに到着する。小高い丘の緑に囲まれ、木立の向こうから立山連峰がブドウ畑を見守っている。

ワイナリー外観。
木立越しに立山連峰がホーライサンワイナリーを見守る。
3代目の山藤重徳夫妻と醸造担当のタケシさんとお孫さん。

初代山藤重信が1927年にブドウ畑を切り開き、その6年後にはワイン造りを始めた。「娘二人なので自分の代での廃園を覚悟していた。ところが婿さんが二人とも山藤姓を継ぎ、家業も継いでくれた」と3代目当主の重徳さん。長女の夫健さんは醸造担当で13年から醸造の責任をもつようになった。金沢大学で機械工学を専攻し大学院卒にして前職は辻口博啓氏の下で修業したパティシエという異色の経歴をもつ。次女の夫、こちらもタケシさんは元エンジニアで畑の担当、農耕機械の修理はお手のものという。

ぶどう畑風景。

自社畑は6ヘクタール。観光ブドウ園を兼ね生食用の珍しい品種もあり栽培品種は約40種と多い。二人のタケシさんが加わってからワイン造りに力が入り、今はワイン専用種を増やしているところで、ワイン用ブドウが畑の半分を占めている。すでに少量ながらソーヴィニヨン・ブランやカベルネ・フランはワイナリー限定販売で製品化されている。

ワイナリーでは、何十年も使ってきた古い設備を少しずつ入れ替えているところ、昨年は小型のステンレス・タンクを入れ、今年はプレス機が入る。これでソーヴィニヨン・ブランの香りを活かせると醸造担当の健さんは張り切る。「父の代では比重だけ計り補酸と補糖をしていた。今は当たり前のことだけどpHを計り、補酸か補糖かどちらかだけにしている」と健さん、ホーライサンのワインをよりよくするにはどうすべきかを理論的に考え、そしてパティシエとして鍛えた舌で判断する。

「ワイン好きばかりが来るワイナリーじゃないから」とワインビギナーも楽しめるワインから愛好家向けまで少量多品種のワイン造りを実践。なかには「あさっぱら」、「くせもの」「ほしあつめ」と名前を聞いただけで飲みたくなるワインが少なくない。売店ではそうしたワインを色々試飲することができ、試すと「名前と味がなんか一致してるなぁ」とうなずいてしまう。ホーライサンのワイン、これからどう発展していくのか興味が尽きない。

個性的な名のワインも多いホーライサンのラインナップ。
ワイナリーショップ。
ワイナリー・ショップのバルコニーでゆっくりテイスティングを。
ホーライサンワイナリーの全容。山藤重徳さんの趣味はヘリコプターの操縦、空撮はお手の物。

ホーライサンを訪ねると山藤ファミリーが温かく迎えてくれる。ファミリー・メンバーにはフレンドリーなワイナリー・ドックとキャットも入っている。週末にはカフェもオープン。ブドウのシーズンには自園産ブドウを使ったスイーツもメニュー・オン。一休みできるベンチやテーブル席がバルコニーやブドウ畑に配置され大人も子供も田舎の親戚の家に来たような気分でゆったりしてしまう。ホーライサンは時間に余裕をもって訪ねよう。

紹介したワイナリー

住所:富山県富山市婦中町みさご谷10