【第2回】 日々、田舎のワイナリーで

甲斐ワイナリー
風間 聡一郎


5月。ゴールデンウィーク真只中でワイナリーはお客さんで賑わっています。僕はゴールデンウィーク初日に高熱を出し戦力外通告。疲労とストレスとお酒の飲みすぎが原因のようで、反省しつつもお酒の飲めない日々に悶々としています。

よく聞かれるのが「ワインは毎日飲むのか」「ワインを造る人はお酒が強いのか」。全てのワインメーカーに当てはまらないのは当然ですが、僕は毎日はワインを飲まないし、お酒もそんなに強くありません。

一部の方には有名になりつつありますが、酔うとどこででも寝ます。若い頃は道端で寝ていた事もあれば、酔って電柱にお金を払っていたこともあります。その他にも…あんまり書くと連載が打ち切りになる可能性もあるので、武勇伝はほど良いところまでで。

しかし、季節によってワインは毎日飲みます。特に仕込み中のタンクチェックです。プライベートで外へ飲みに行くと、記憶がなくなって来た頃にワインをたくさん注文してお会計で青くなるパターンが多いです。最初からワインを飲んでしまうと「このワインはどうやって造ってるんだろう」と考え込んでしまうから。そんな格好の良い言い訳を常に用意しています。

標高の高い畑の新芽

さてさて、この時期のブドウ畑。品種や畑の標高にもよりますが、展葉4~5枚ほどの新梢も。また、既に蕾も形成され出しています。
この蕾が成長し、収穫できるブドウの房になるまであと約5ヶ月です。そんな成長具合や毎日の天気が気になり出すのもこの時期特有です。

バルベーラの蕾

辺りの景色はいつの間にか新緑が映え、ブドウ畑にも緑が増えました。昨年11月頃から3月頃まで緑がなかった畑ですが、わずか2ヶ月ほどで劇的な変化を遂げています。

畑へ向かう田舎道を歩くと植物や生物、目に見えるもの全てが生きているんだなーと実感する毎日です。きっと都会では味わうことが難しく、田舎ならではの高揚感を覚えるんです。

著者について

甲斐ワイナリー
風間 聡一郎

伝統を活かしたワイン醸造を行う家族経営の甲斐ワイナリー3代目(酒造業としては7代目)。甲州種やメルロー、バルベーラなど専門品種を中心に個性と品位のあるワイン造りを目指し、日々、畑でワイナリーで作業に励む。時折息抜きにFBでぼやく。1978年生まれ。東京農業大学出身。